事典にない大阪弁-絶滅危惧種の大阪ことば / 旭堂南陵

住むのも働くのも中心部のビジネス街だったからか、大阪という街や人にあまり悪い印象は無い。本町から船場あたりが生活の中心だったので歴史や長い年月の積み重ねを感じられて、東京23区ではありながらベッドタウンに住む自分にとっては珍しい経験や貴重な体験ができたと思う。
そこでこの本。言葉、特に消え行く日常語に残る大阪やその暮らし、文化を記している。著者の母親が平野町の出身ということで、船場に関する記述も多い。
「おあがりやす」の項には
ご膳おあがりやす。おつい(お汁)おかえやす。昼の炊きたてのご飯はおかわり自由。
と書かかれている。

確かに自分がいた北浜近辺では昼時の定食のご飯は大盛り無料どころかお代わりも無料な店が大半だった。どの店もデフォルトがそうなので敢えて「無料」などと書いていない。でも通い慣れた風情のお客さん(サラリーマン)は「軽めにお代わり」「大盛りで」とナチュラルに頼んでいる。麺類やアタマも大盛りになる丼物などは大盛り料金設定があるのだが、定食につくご飯はほぼどこでも融通が効いた。
来歴も説明も無いけど、そんなこともあって、この「おあがりやす」の項は妙に納得した。